きこえNews

若年発症型両側性感音難聴とは

<早期発見と適切な対応がカギです>

40歳以下の比較的若い世代で発症し、両耳の聴力が徐々に低下していく疾患です。実際には、難聴を自覚するのが40歳以上のこともあり、若年時の発症に気づいていないケースもあります。このタイプの難聴は加齢によるものとは異なり、遺伝的要因や特定の遺伝子変異に起因することが多いとされています。進行性であることが多く、早期の発見と対応がとても重要です。
この難聴は、はじめは日常会話の中で「聞き返しが増えた」「相手の声がこもって聞こえる」といった些細な変化から始まります。しかし、放置していると徐々に進行し、補聴器が必要になるレベルにまで聴力が低下することも少なくありません。

<遺伝学的検査による診断の精度向上>

当院では、若年発症型両側性感音難聴に対して遺伝学的検査を導入しています。これにより、原因となる遺伝子(ACTG1遺伝子、CDH23遺伝子、COCH遺伝子、KCNQ4遺伝子、TECTA遺伝子、TMPRSS3遺伝子、WFS1遺伝子、EYA4遺伝子、MYO6遺伝子、MYO15A遺伝子、POU4F3遺伝子など)の変化を特定することが可能となり、診断の正確性が向上しています。特に家族歴のある方や、若年時からの原因不明の進行性難聴でお困りの方には、遺伝学的検査を受けることをおすすめしています。遺伝学的検査は当院の臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングのもとで、通常の血液検査と同じ量の採血を行います。結果につきましても、詳しい説明を含めたカウンセリングをいたします。

<指定難病としての制度的サポート>

この疾患は、国の指定難病にも該当するため(指定難病304)、一定の条件を満たすことで医療費等助成の対象となる可能性があります。当院では、診断から申請までのサポートも行っておりますので、安心してご相談ください。

<早期対応で生活の質を守る>

若年層での難聴は、学業・仕事・人間関係など、人生のさまざまな場面に影響を与えます。聴力の低下に気づいた段階で耳鼻咽喉科を受診し、適切な検査・治療を受けることが、将来の生活の質を大きく左右します。
当院では、専門医による聴力評価、遺伝カウンセリング、補聴器適合、人工内耳の相談など、包括的な医療を提供しています。難聴についての不安をお持ちの方、あるいはご家族の方も、どうぞお気軽にご相談ください。